ミニキャンプの位置づけ

コロナ禍で、丸3年、活動を停止していましたが、この5月からの五類感染症への移行を見据え、福島っこ元気村キャンプを再開すべくテスト的なキャンプを少人数、短期間で実施しました。

ミニキャンプ趣旨

これまで全12回のキャンプに参加した子どもたちを対象とし、築いてきた繋がりを絶やさず、未来に繋げていこうとするものです。主に再会・交流の場と位置づけ、年に1〜2回、参加者とその家族、またキャンプスタッフ、支援者が互いに顔を合わせ、その関係性を維持・発展させていきます。

実施状況

日 程 3月25〜27日の2泊3日
参加者 募集定員8名に対し、8名の参加者。スタッフは運営スタッフ3名、ボランティアスタッフ5名、さらにかつての参加者である福島っこスタッフが2名の計18名で行いました。

活動内容

2泊3日ということで、1日目と3日目は移動日。中日にこれまで実施してきた東京修学旅行を行いました。またこの活動停止期間中に実施できなかった卒業式を含め、子どもたちの卒業・新入学・成人をお祝いする機会を設けました。

体調について

キャンプ中、およびキャンプ終了後1週間含め、参加者、スタッフともに特に新型コロナやインフルエンザ等の感染症を疑う体調不良はありませんでした。

感想

3年ぶりの開催ということで、実施できるか不安でした。特にスタッフ。この間、ほとんど会う機会もなかったので、一度止まった活動を再度動かすことが可能なのかやってみないとわかりませんでしたが、無事に実施することができました。

2泊3日というこれまでと比べて短いキャンプでしたが、子どもたちの変化・成長を感じるには十分な時間でした。子どもの年齢が13歳から18歳、福島っこスタッフは21歳と幅広く、5名が中学・高校をこの春卒業ということもあって、それぞれの子が、それぞれのステージにいて、思春期というか、若者らしさというか、そうしたものの真っ只中にいました。

その輝きはとても眩しいものであると同時に、未来に向けての希望や不安がないまぜになったような状況でもありました。まだ定まっていないが故の希望、まだ定まっていないが故の不安。どちらにしても多くの大人たちが通ってきた社会への入り口の前後に、今、彼らはいます。

彼らを小さい時から知っている私たちにとって再会は喜びでしかなく、また参加者の子どもたち同士が連絡を取り合い繋がっているようで、これもこうした活動を続けてきてよかったなと感じました。

東日本大震災から12年が経ち、被災地の状況も随分変わったと思います。依然としてその傷跡は見えるところにも見えないところにも残っているのだと思いますが、子どもの成長というのはそうした困難を飛び越えて、未来を切り拓いていく力だと感じます。それぞれの子どもの未来が拓けてゆくことが福島の未来が拓けてゆくことに繋がると思います。

今回は10名の福島っこが参加しましたが、今後もこの子たち、別の子どもたちが元気村キャンプを思い出した時に、そこで出会った人たちと交流する機会、いつかボランティアで手伝いたいと思っていてくれた子どもたちがそれを実現する機会、僕たちが彼らの行末をいつまでも見ていたいという思いを果たす機会をつくりつづけるために、これからも福島っこ元気村キャンプを続けてゆこうと再度モチベートされるキャンプになりました。

課題・要望・改善点

この活動を継続してゆく上で、今回拾い上げた課題です。

スタッフの確保
・もっと早めに連絡することでより多くのスタッフが参加しやすくなるのでは。

事前準備
・スケジュールと献立を事前に決めて、ある程度の買い出しをしておけばより時間に余裕ができる。

参加のハードル
・以前と違いバスでの移動ではなく、大型のバンでの移動。費用がかからない反面、乗れる人数も少ない。個人で車、電車等で参加する場合、参加費を下げるなどで参加しやすいようにする。

参加者からの要望
・総じて短いとの感想。3泊4日程度が程よくコミュニケーションの時間も取れて、移動ばかりにならず、体力的にも余裕ができるのでは。

反省点として、開催の準備や周知が遅れました。また体力的な点や、参加者、関係者の満足感、都合などを考慮すると3泊4日が妥当かなと感じました。

収支報告

継続してゆくために

今回、このミニキャンプではどのぐらいの費用でできるか試してみました。日数が短く、参加者も少ないため、貸切バスなどの大きな出費がなく、以前の3分の1から、4分の1程度の費用で実施できました。

次回以降、以下の方法を用いて持続的に行える活動を目指します。

・参加費は一人あたり1万円
・公共交通機関を利用する参加者は参加費を半額に
・東京修学旅行の交通費、プログラム費は個人負担に
・寄付金の再募集
・チャリティーわたあめの再開

最後に

この度のキャンプ再開ですが、生活クラブ協同村のみなさんから再開を後押しいただいたことが大きかったです。それがなければ今回の実施は難しかったと思います。以前滞在していた古民家はもうありませんが、この人数が余裕をもって過ごすことができました。

またボランティアスタッフのみなさん、久しぶりの呼びかけに応えていただいて、以前と同じように食事面、生活面で心配なく過ごすことができました。すいぶんと間が空きましたが、覚えていて頂いて、みなさんと久しぶりに交流できたこともよかったなと感じています。

それと私たちの大切な仲間のやまみちさん。この間に他界され、大きな喪失感がありましたが、成人した彼らがやまみちさんにお酒を注いでくれました。恐らく彼らと一献傾けることが彼の夢の一つであったと思いますが、今回、無事に果たされることとなりました。

参加した子どもたちですが、りくとタカは立派に働いていました。りくはなんでもパパッとできるようになっていて、11年ぶりに会ったタカは気遣いできるようになっていました。同じ小学校の同級生、そうまとみづきはこの春から大学生。ちっちゃくて可愛かったんだよ、二人とも。二人ともキチンと将来のイメージがあって、教育の道に進むようです。かなるは小学生の頃の子どもっぽい感じが随分と抜けてました。ちょっと別人って感じで「驚く」の一つ上の言葉が当てはまります。つばきとももはそろって卒業。背格好が変わらないつばき、すごく背が大きくなったもも。中身は二人とも小さい頃から知っている彼女たちでしたが、勉強と運動。それぞれの得意な方面で結果をだしたようです。ハルトは見違えるような落ち着きを手に入れていました。かわいい感じで、子どもっぽく、我慢できない感じもそのかわいさだったんだけど、そうした一面はもうどこにも感じない。すごいね。最後の春キャンプに一度だけ参加したみなみ。この春高校生になり、引っ越しとかもあって忙しいのに、このキャンプを覚えていてくれて参加してくれたことが嬉しかったです。自分の道を自分で決めたようで。それ自立の最初の一歩だものね。せいな、子どもの時はぼーっとした感じだったのだけど、もうその感じはどこにもなく、何事も考えて行動を決定している印象を受けました。抜けてない、全然からかえない。ちょっと寂しいけど嬉しいね。

ということではっきりしたのは、これまでの彼らとの関係を改めないといけないということ。僕らの知っている、子どもらしい可愛らしさを持っていて、愛嬌があったり、バカっぽかったり、泣いたり、わがままをいう彼らはもういません。大人か、またはその入り口にたっていて、体力は言うに及ばず、自分の未来への興味関心、考え行動する力、見えない未来に前進してゆく力、真っ直ぐさとかそういうのを身につけているというか、まとっているというか。見習うべき点もこのキャンプ中に感じました。

彼らとの関係を継続してゆくためには、彼らへの認識と関係性をアップデートする必要があります。それほど子どもたちにとっての3年間というのは大きいという印象です。

と、こんな形で福島っこ元気村は変化し続けています。このコロナ禍で様々な出来事がありましたが、これからもよい繋がりを作りつづけるべく未来へ未来へと進んでいきたいと思います。関係する皆様におかれましては、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上