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2015年11月21日

福島っこ元気村キャンプ実行委員会

委員長 堀内拓馬

2015夏 福島っこ元気村キャンプ報告  ~ 未来への選択肢 ~

 

明日でこの夏のキャンプが終わって一週間が経とうとしています。帰宅後の子供たち、スタッフから病気などの報告がなく一安心といったところです。

さてこの夏のキャンプですが、一言で表現すると大きな発見のあるキャンプとなりました。想定していなかった嬉しい誤算。この報告はこの事を中心に、この夏キャンプについてみなさんへお伝えするものです。

 

IMG_605415人でスタートしたキャンプ

今回で8回目となる元気村キャンプですが、この夏は最も参加人数が少ない15名。これまでは少なくても20名を下回ることはありませんでした。理由は幾つかあります。まず夏は子供たちの用事、特に部活動などが多いこと。最近は小学校でも部活があるそうですね。もうひとつは開始一週間前にキャンセルが相次いだこと。7名がキャンセルになりました。キャンセルの理由はそれぞれです。もともと参加が難しそうだった子や、送迎の都合がつかないなどでした。

送迎の都合がつかないとは?

これ、私たちも迂闊でした。要は平日に親御さんが仕事のお休みを取れないから・・・ という理由です。以前の報告書に書きましたが、元気村キャンプは子供だけで参加できるため、共働きなど、親御さんのお休みの調整が難しい家庭が多いのです。一般的にお休みが週末であるとすると、平日の15時とか16時に勤め先を抜け出して、お迎えにくることが難しかったりします。

なにも意地悪でこうしたのではなく、理由があります。以前、出発を週末にしたところ、バスの予約がとても困難になりました。またバス料金も平日より割高です。そうした経緯があったので、「どうだ。俺らも馬鹿じゃないから、同じ失敗はしないぞ!」とばかりに平日の出発を当然としていたのです。ところがあることがキッカケでこの「平日問題」が発覚しました。


いわきから参加したい!

これまで中通りの市町村からしか参加希望のなかった元気村キャンプですが、今回はいわき市からの問い合わせが3件ありました。ですが、いずれの子供も参加するにいたりませんでした。理由は送迎場所である郡山に子供を平日に送り迎えできないからです。およそ1時間半かかるこの道のりを往復で平日に3時間かけて子供を送迎する時間がない。これがその理由です。さてどうしたものか。今後への課題となる出来事でした。他のキャンプ団体にもどのように対応しているのか聞いてみようと思います。

*補足*

ちなみに全国にこうした放射線量の高い地域から子供や、家族をうけいれる「保養団体」は全国に多数あります。もっとも多い時で、把握する限りで200ぐらい、総数では300を超えていたと思いますが、今だんだんとその数が減っています。様々な理由で継続するのが難しいというのが現状です。ちなみに関西の保養団体は自主ネットワークを形成、ホームページを作成しています。

ほようかんさい

なお東京だけで10前後の団体、関東や、首都圏という括りであれば、おそらく40~50を超えると思いますが、すべての団体が連絡を取り合っているわけではなく、またどの程度の頻度、規模の活動であるか、把握できていません。

いわばこうしたキャンプは市民による草の根活動であり、ほとんど公的支援の枠組みの外に置かれています。

なお唯一私たちのような団体が活用可能な「ふくしまっ子体験活動応援補助事業」というものがありますが、様々な面で利用のハードルがとても高く、元気村では活用を断念しました。ただ、事業予算が消化されないと来年度以降の事業自体の存続が危ぶまれるため、そうしたハードルを飛んででも活用している団体が全国にいくつかあります。

多くの人が、本業を抱えながら片手間でそうした事を行っています。本当に頭が下がる思いです。

そうした人たちがいるということだけでもどうか知ってもらえればと思います。

ふくしまっ子事業

IMG_6200初日から雰囲気が柔らかい

さてキャンプについてです。到着した日の夜、子供たち同士で他己紹介をしました。自分のことを紙にかいて、それを他の子供に渡し、もらった紙の子を紹介します。この時はもう既にキャンプに流れる空気が柔らかかったというか。緊張というより、ゆったりと、和やかな感じで紹介が進んでゆきました。子供たちの人数が少なかった事もそうですが、こうした空気が初日からでた事には別の要因も含まれています。このこと、報告書全体を使って説明してゆきますね。

IMG_6955天候に恵まれた!夏らしいキャンプ!

今回は本当に天候に恵まれました。バスが武家屋敷に到着した時だけは土砂降りの雨で、バス内で15分ほど待機しましたが、それ以外は殆ど雨が降りませんでした。おそらく、ゆっぴー(参加者の女の子)が持ってきてくれたテルテル坊主が効いたのでしょう。日本中がとても暑い日をすごす中、福島は連日35度を越す陽気だったようですが、武家屋敷ではクーラーもなく過ごすことができました。そうはいっても夏ですからね。本当に川遊びは最高でした!特に3日目に出かけていった秋川での川遊びは本当に楽しかったと思います。キャンプ中に「何が一番楽しかったか?」と子供たちに尋ねたところ、殆どの子供が川遊びと答えました。若干2名が「畑仕事」と「自由時間」と答えましたが。これはこれでその子の特徴がよく現れている回答でした。

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それにしても夏は水遊びが楽しいです。この秋川での川遊びがとても楽しいものになる事は、昨夏のキャンプで同じ場所で遊んだことからわかっていました。だからどうしてもよく晴れた夏空の下、ここで遊びたかった。そのために3日目が雨だったら、4日目と入れ替えるとか、そうした配慮をしてまで出かけたのがこの川の日でした。

2015夏 福島っこ元気村キャンプ 3日目 〜さあ川遊びだ!〜

IMG_8215IMG_7981今回のキャンプ、とにかく自分たちが子供だった頃のことを思い出して、夏らしいことを大切にしました。スイカ割りだったり、BBQだったり、肝試しだったりと。子供たちの記憶の中に少しでもこの夏のことが思い出されるようなことがあれば、私たち一同、とても嬉しく思います。

キャンプの雰囲気。大切にしていること。

毎回いっていますが、家族感を大切にしています。一言でいってしまうと簡単ですが、実際にやろうとするととても漠然としたものです。これを形にするために取り組んでいることのひとつが「元気村の旗」です。

昨年の夏に作成したこの旗。もちろんこの夏も持ってきました。私たちがいるところにはこの旗を掲げます。そこが元気村になります。

この旗、みんなの手形を押しています。今回、新たに参加した子供たち、スタッフも押しました。入村手形みたいなものかな?みんな、あの時、そこに、元気村にいたのです。その証です。

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元気村の旗

驚くのは、去年の手形ですから私たちはなんの変化もないのですが、子供が手を合わせると・・・ 去年より大きい!一年で手がこんなに大きくなるなんて。子供たちの成長の早さに驚かされます。

あと食事の時の、いただきますと、ごちそうさま。これは必ずしようと。なんとなく食べて、なんとなく終わるのではなく、みんなでそろって食べ初めて、一緒に食事を終えます。食べ物をいただくわけですから、それらへの感謝もそうですが、こうしたことを大切にすることがみんなで何かをしている感じを強くするのだと思います。

あ、それと前回からはじめた「5つの約束」も健在ですよ!挨拶、名前で呼ぶことはとても大事です。

2015春 福島っこ元気村キャンプを終えて(5つの約束)

本格導入!キャプテン制度!

これ、子供たちへの指示をする人は誰か?をわかりやすくしようとの事で始まりました。これまではキャンプリーダーだったり、村長だったりしたのですが、それらの役割の人が毎日キャンプにいるとも限らないので、その日に指示をする人がだれなのかわかりやすくする目的で導入したものです。どういう人員配置であっても、キャンプ運営が円滑にできるように・・・との狙いもあります。

きっかけはボランティアのトッティーからもらった、サッカー選手が身につけるキャプテンマークです。この黄色いCのマークをつけている人の指示に従うこと!とキャンプで定めると、子供の移動、次の活動への移行がとてもスムーズになりました。

リーダーとか、村長などとあいまいな役割を複数設けるより、キャプテンひとつに絞ってしまったほうがわかりやすい。子どもの反応は正直ですから、何事もシンプルに!ですね。

まあ余談として自由時間にこのマークの取り合いをして、ふざけてみんなに指示をするとか、なんとかそんな遊びもありますです。はい。

私たちが挑戦したこと。武家屋敷に帰ってきた元気村キャンプ!

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今回滞在した日の出 武家屋敷、実は元気村キャンプにとっては最初のキャンプを行った思い出の場所です。昨年の9月に行った施設提供の呼びかけに、屋敷を管理している日の出太陽の家ボランティアセンター理事長の久保田さんが応えてくださったことで今回のキャンプが実現しました。

2015夏キャンプ ~施設提供ボランティア募集!~

http://genkimura.letsgoout.jp/2014/09/09/8306/

最初の元気村キャンプ

http://genkimura.letsgoout.jp/2012/03/31/2301/

太陽の家とは障害者支援施設で、知的障害をもつ方々の生活の場です。初回のキャンプでは、とにかく福島から子どもたちを連れてくることに精一杯で、その他の事、特にプログラムの運営を突き詰めて考える余裕がありませんでした。そのため武家屋敷、太陽の家について、子どもたち、ボランティアスタッフへ事前の説明なく太陽の家利用者の方との交流を行ったため、一体何の交流なのか理解出来なかった人が大勢いたと思います。

この武家屋敷ですが、創設者の中島氏の思いから、社会的価値のある活動をしている人達に開かれた施設です。今回ご縁を頂いたのは、元気村キャンプの社会的価値を改めて認めて頂いたことによるものです。

この辺りの詳しいことは下記のホームページをご覧下さい。

日の出太陽の家について http://www.taiyonoie.org/publics/index/17/

あれから3年が経ち、私たち運営するスタッフの経験も大きく変わりしました。さて今回、我々はどのようなキャンプをこの武家屋敷で過ごしたのでしょうか?

太陽の家との交流

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この夏のキャンプに向けて、スタッフが話し合いを重ねたのがこの交流のことです。

太陽の家ができた経緯や位置づけを考えれば、私たちのキャンプと交流をするのは自然の流れですが、その交流がどのようなものになるのかイメージがつきませんでした。子供たち、太陽の家の人たちが状況がわからず、互いにポカーンとするようなことがなければよいな、と。そのため事前にスタッフが何度か太陽の家に足を運び打ち合わせを重ねました。結果からいえば杞憂であったと思います。

こうした交流への準備もそうですが、大切にしたい事は、こうした事にあたって、経験がなければ自分たちなりに考え、進めてゆくチームになってきたということです。こうした点にキャンプを継続してきた意義と進歩を感じます。

なお交流をスムーズに進めるために、初日に太陽の家の説明DVDをみんなで観ました。小さな子には少し退屈だったかもしれませんが、それでもこの場所が、武家屋敷が、どういう場所であるか、幾らかでも伝わったように思います。2日目には利用者の方と一緒に畑仕事をしました。

2015夏 元気村キャンプ 2日目 ~ 太陽の家のお手伝い! ~

知的障害への理解を深めることがこのキャンプの本旨ではありませんが、こうしたご縁をいただいたことで、このことにキャンプとして取り組みました。結果は、子供たちの感想に書かれていることから感じて頂ければと思います。少し一緒にいたぐらいで互いのことを深く理解できたりはしません。それは誰でも一緒です。ただ世の中にはいろんな人がいて、みんなその人なりの課題があり、そうした中で暮らしていること。このことを体感することはとても大切なことだし、貴重な機会です。それは子供も、大人も変わりないと思います。

大切なご縁を頂いた交流であったと思います。

子どもたちの感想

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ご縁に恵まれること

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頂いたご縁を大切にすれば、また新たなご縁に恵まれます。今回それを感じたひとつに「つむ木」があります。4日目に遊んだこの積み木は、ある方から偶然お借りすることができたものです。武家屋敷の関係者で、SNSを通じて知り合った方が、見ず知らずの私たちのために「よろしければ子供たちが遊べるように、積み木を持っていきたいのですが、いかがですか?」といった趣旨の連絡をキャンプ中に頂きました。

まあ雨の日もあるだろうし、積み木ですから、とても気軽に「ではお願いします。」とお返事したところ、届けていただいたのは4000枚もある、大きなケースに入って積み上げられた「つむ木」でした。東京のリフォーム会社さんが、山の資源の有効活用にとつくられたものです。

これを埼玉在住の方が、東京の東側まで取りに行って、西の端の我々のところまで届けてくださりました。夏の暑いさなかにです。

4日目は、前日の川遊びの影響もあって、外遊びなどの体力を消耗することをあまりしたくありませんでした。ちょうどそこにこの積み木を持ち込んで頂いたので、私たちとしても渡りに船でしたし、なによりこの「つむ木」が面白いのです。

キャンプ4日目

子供よりも、大人が本気になるような感じです。ご飯前だからやめなさいといっているのに、止めない大人たち。それもただ単に積み上げるだけ。それだけで十分に夢中になれるものでした。武家屋敷まで運んで頂き、また返却までご足労頂いた伊藤さん、本当にありがとうございました。子供たち、本当に楽しそうでした!いや、大人の方がもっとかな?


人に恵まれる元気村

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本当にこれに尽きると思います。人に恵まれるというのが最もありがたいです。年齢、性別、人種を超えた様々な人たちがいると、賑やかで、キャンプそのものが楽しく、豊かなものになります。新たに参加してくれた人、また来られるようになった人、いつもの人たちが連れてきた人など様々です。前回の春の報告にもありましたが、高校生だったコウキはこの春から料理の専門学校に通っています。その専門学校から「料理班の人たちに楽をしてもらいたい。」とのことで、新たに学校の友達、がっきーと大ちゃんを連れてきてくれました。

また新たな高校生スタッフ?ろくた達、3人の男の子がきてくれました。桜美林大学からは、新たにマッシュと、中国からの留学生 トウくんが。最近こちらの方に越してきたドッピーといった、若い男の子がとても多く参加してくれました。

彼らは、力仕事もそうですが、意外なことに厨房仕事、料理の手伝いや洗い物を率先してやってくれました。料理班でリーダー役を務めてくれたK子曰く、今回のキャンプでは包丁を握っていないそうです。指示する人、全体を把握すべき人が、現場でみずから料理をしなくても食事準備がまわる状況でした。これはこれまでのキャンプで初めてのことです。

それ以外にも始めての人たちでいえば、たまちゃん、れいさん、桐さん、ほーりー、みっきが参加してくれました。今回、スタッフは全員で43人で、延べで136日分の参加でした。一人平均3日ちょっとです。これだけのスタッフがいても、大人が余りすぎるといった感じはなく、過不足ない、程よいといった感じでした。いつも食事や、準備、片付けだけで終わってしまうスタッフも、今回はいつもより多く子どもたちと過ごす時間があったのではと思います。

参加する子どもたちの人数、年齢構成、プログラムの内容、天候、生活環境、食事メニュー、それとスタッフの人数。こうした要素が過不足なく、バランスがよくなると、それにつれてキャンプの雰囲気がとてもよくなるなと実感しました。


人に恵まれたおかげで。一致団結。

このキャンプチームは回を重ねるごとによくなっています。今回の例を挙げると・・・

・毎日の検温と記録、服薬管理だけでなく、個別の体調ヒアリングを実施。

・川遊びのときの食事、おやつの気遣い。感染症対策として、食事は串物にしてもらうことで、直接食品を手に触れることなく食べることができた。

・初日に大雨が降ったとなれば、各自が独自の判断で川を偵察に。翌日の川遊びに向けて。

・プログラムを状況に応じて変更。洗濯物が多くなったり、荷物が散乱したりするのと、外遊びすると疲れそうだったら、予定を変更してみんなでお片付けの日に。

・最終日、急病の子供がでた時に、それぞれの状況判断で乗り切る。

経験を重ねるごとにできることが増えます。特に夏キャンプは、春のキャンプの4ヵ月後にやってくるため、キャンプの記憶が新しく、あらゆる動きがスムーズな傾向にあります。前もって想定し、計画すれば、かなりの事はできるようになりました。

ポイントは、そのときの状況で急遽予定を変更する時です。

予定を変更すると、ぱっと思いつくよりも色々な影響があったりします。たとえば4日目は出かける予定だったのですが、子供たちの体力と、天候、生活の状況をみて、片付けと積み木大会に変更しました。まず用意していた車が必要なくなります。それと外でも食べられるように準備していたものが必要なくなったり、反対に時間が余るので、別の日にやる予定だったことをこの日にしたりと、それなりに影響があるのです。

この時に大切になのは、予定が変わったことに疑問や、不満を抱かずに、サッとその変更が大切だということを信じ、各々が自らの役割から起きうることを想像し、それに対応してゆくことです。信頼関係がとても大切です。これは決して簡単なことではなく、とても重要なことです。

もし変更をよしとせず、議論が始まったり、面白くないといった空気が流れはじめると、キャンプ自体がストップしたり、子供たちへもそうした空気がなんとなく伝わります。この違いがキャンプの雰囲気に与える影響はとても大きいのです。

今、私たちのチームは、前回より今回、今回より次回に向けてよくなっていると感じます。みんなそれぞれの考えや、思いがあっても、必要であればそれを黙ったり、反対に発言したりすることが少しできるようになったと感じています。

このことは最終日の急病の件で特に感じました。


またか?最終日のこと。

最終日の朝、低学年の女の子の検温をしたら大分平熱より高いということがありました。前日の夜から少し平熱より高かったのでケアしていたのですが、熱が下がらない。様子をみるために、別の部屋で寝かせて、しばらくして再度検温をしたら、急に高くなりました。これはもう病院につれていくわけですが、数時間後には帰りのバスが出発します。この時、昨年の夏の出来事がよぎりました。

サルモネラ感染症に関する報告

あの時は嘔吐があったにもかかわらず、感染症を疑わず、風邪の症状として対応しました。冷静に、いまやるべき最善の方法をとること。そのことの大切さを痛感させられたできごとでした。

今回、嘔吐はありません。まずは病院での診察を受けること。その結果でどうするか決めること。ご両親に状況を伝えること。場合によってはこちらで入院の可能性もあること。その場合は迎えにきてほしいこと。一番悪いケースを想定して関係者に話をしました。

病院には看護資格を持つよしこさんが付き添ってくれているので、子供と、病院とのやり取りは安心です。あとは親御さんとの連絡のやり取りを考えると私が一緒に行くのが最善だと考えました。

最終日、キャンプは武家屋敷と、荷物の片付けをして、総まとめである振り返りをします。そうした一切について、指示をせずに、こちらの状況だけを伝えて、あとはよろしく頼むとスタッフにお願いしました。他のみんなもこの状況を理解したと思います。それぞれができうることを全うしてくれました。

その結果、今回のキャンプの振り返りは若きキャプテン、コウキがしてくれました。以下、最終日の報告は彼の言葉を借ります。

福島っこ元気村キャンプ 2015夏 8月5日 報告書(報告者 コウキ)

7月30日始まった福島っこ元気村キャンプ2015夏も、あっという間に1週間が経ってしまいました。福島から元気村キャンプに来た15人の子どもたちは今日帰ります。

いつも通り朝起きてご飯を食べたら、帰りの支度

ある子は「もう帰っちゃうのかー」と言っていました。

長いようで短い1週間

その中で子どもたちはどんな体験をし、どんなことを感じたのか

帰りのバスが来るまで、みんなで振り返りをしました。

はじめは、子どもたちの感想

「川あそび楽しかった!」

「新しい友達ができて嬉しかった!」

「また次のキャンプも参加したい!」

など、みんな楽しく過ごせたようです。

中学生の男の子からは

「次のキャンプも積極的にお手伝いをしたいです」

という声があり、とてもよかったと思います。

彼は、この元気村キャンプが始まった2012年から毎回来てくれている子どもです。最初は小学5年生だったのが今は中学2年生です。今回彼は、いろんなお手伝いをしてくれました。僕が出会ったころとは違っていて、ものすごく成長しています。次はどんな成長を見せるのか楽しみです。

次は大人スタッフの感想

「子どもたちに元気をもらった」

「楽しい時間をありがとう」

「また君たちの元気な笑顔をみたいよ」

といった感想がありました。

今回のキャンプでは多くのスタッフが集まり、みんなが誰かのために動いていました。僕はそんな光景を見て、いくつか思ったことを子どもたちに伝えました。

1つ目は、私たちのキャンプは多くの方々の寄付・支援を頂いているということ。毎日食べている食事の材料や備品、また、今回のキャンプの舞台である武家屋敷からも寄付・支援を頂いています。なので、料理で自分の苦手なものがあったから食べない!というのは違います。感謝の気持ちを大切に。キャンプを楽しんでもらいたいと思い伝えました。

2つ目は、誰かがみんな(子どもたち)のために裏で動いていること。元気村キャンプには様々な班があります。子供班・食事班・活動班・医療班・衛生班など、それぞれの班がみんなのために動いています。食事班は子どもたちが遊んでいる時ご飯を作り、活動班は次の活動に必要な備品を準備します。みんなの見えないところで誰かが動いてくれている。見えないところだけではありません。見えているところで動いている人もいます。それは子どもたち自身です。ご飯の時間になるとテーブルを出し、拭かなければなりません。まだ他の子が遊んでいる中、率先としてお手伝いしてくれる子もいます。誰が手伝っているのを見たら自分も手伝う、そうすればご飯の時間は早くなるし、遊ぶ時間は増える。考えて行動すれば、もっとキャンプが良くなる。ということを伝えました。

長かったかもしれませんが、少しでも子どもたちに伝わったならば僕は満足です。

振り返りが終えるには、バスがそろそろ到着する時間

縁側に移動し、満面の笑みで記念撮影

最後にみんなで感謝の気持ちをこめて武家屋敷に「ありがとうございました!」

そして大きな荷物をもって次々バスに乗っていく子どもたち

その荷物の中には、きっと子どもたちの成長も詰まっていることでしょう。

・・・・以上です。これが私のいない所で、何の指示もなしに起きていたことです。

こうして各自が予定外の状況に対応してくれました。

なお女の子ですが、幸い夏風邪でした。インターの手前でバスに合流し、バスに飛び乗ると、乗っていた車をスタッフに託し、無事時間通り福島に向かうことができました。これもみんなの連携プレーのおかげです。

チームワークは、よい時ではなく、ピンチの時にこそ発揮されます。その点で、今回のことは私たちの今の位置を表す出来事でもあったと思います。


子供も、大人もみんなが楽しかった!

これまでの全てのキャンプが私たちにとって忘れがたく、楽しいものでしたが、今回の夏は特にそう感じた人が大人にも、子供にも多かったのではないでしょうか?

今回は子供たちの数に対して、大人の割合が高かったこともあって、生活自体がゆったりとしていました。夏で体力的にきつい期間でしたが、その中でもダウンすることもありませんでした。

人に恵まれ、おかげでキャンプの運営に余裕が生まれ、何かの際には一致団結するようなこともできました。状況に応じて予定を変更し、体力に余裕を持ちながら、子供たちも、我々スタッフもキャンプを楽しむことができたのだと思います。

起点はご縁であり、人です。そうしたことを素直に捉え、迎え入れていくことで、こうした状況が生まれたと思います。子供たちの感想を聞いても、この夏のキャンプが楽しかったと感じているようです。

2015夏アンケート

計画をしっかりとたてつつも、その時の人の状況、周りの環境に対応していくことで、安全で且つ満足度の高いキャンプに近づきます。精度が高い計画に、子供たちを楽しませようというプログラムがありながらも、そうしたものに固執しすぎずに、状況によって変化を受け入れる柔軟性と、対応力、団結力が、みんなにとって楽しく、安全なキャンプに重要なのです。

今回はそのことを体験的に理解するのにとてもよいキャンプでした。そしてこのことは未来にむけてひとつの可能性を示したと感じています。それは約束の5年後以降のこのキャンプの新たな選択肢です。このことは次のこととあわせてお伝えします。


「次回はスタッフやらせてください。」子供たちからの声

ついにこうした声があがるようになりました。まず今回参加できなかった、子どもたちからの手紙。いろいろありますが、要約すると、高校生になって、このキャンプを手伝いたいので、それまで待っていてくれと。このお願いに対してスタッフみんなが抱いている感情は同じようなことだと思います。

それと今回中学二年生で参加したヒロキから。彼は一度も欠かさずにこのキャンプに参加しています。その彼が次回はスタッフとして扱ってくれといってきました。遊びもないし、自由に休めないし、DSも、カードゲームもやる時間はないけど、それでもよいか?と尋ねたところ、それでもよいと言います。

これまで私たちのスタンスとして、子供に過剰な期待はしたくありませんでした。それは、彼らはまだ小中学生であり、やるべきこと、体験したらよいことなんていくらでもあります。そうした状況で、キャンプを手伝うということは、幾らか何かを諦め、これに打ち込むことを課す部分があるからです。

ただそれが本人の意思であれば尊重します。ましてこのキャンプを手伝いたいなどという申し出を断るわけにはいきません。

正直、わからないのです。

中学生や、高校生で、そんなに若いときに、自分が何かを、誰かから何かを受けたと感じ、それに対して返したい、報いたいという気持ちを抱き、その場を得て、もしその気持ちが少しでも報われるような体験を、感情を抱くのだとしたら、この子達がどれほどの成長を遂げるのか。それがまったくわからないのです。

私はこの年になってようやくそうしたことを理解し始めました。彼らはまだ10代の半ばです。このわからない部分に、とても大きな可能性を感じることもできます。

少し話が変わりますが、私たちのキャンプでは、昨年から秋に交流を目的とした集まりを始めました。そこには中学生になり、なかなか元気村に参加できなくなった子供たちの顔があります。親御さんの都合がつかなくとも、子供だけをつれて置いていったりとかがあるので、久しぶりに会う顔ぶれが並びます。

SNSでも、スタッフと子供たちが友達になっていたりします。それも親御さんの紹介だったりします。

そうした親御さんが私たちに期待すること。私たちと彼らとの繋がりを大切にしたい、切らしたくないという感情を感じることがあります。

その感情の延長線上にあるひとつのこと。とても大切なひとつのことが、この「わからない部分」なのではないかという可能性を感じるのです。

夏のキャンプ、参加者が少ない訳は冒頭にも述べました。そうした状況なのであれば、無理に数を増やそうとしたり、また反対に夏のキャンプ自体を止めてしまおうとするのではなく、このゆったりと、みんなが楽しめるキャンプのスタイルに磨きをかけ、少人数でもかまわない。むしろ春キャンプにはない、少人数のよさを追求すればよいのではないか。

そして、もっともっとキャンプに余裕を与えるほどのチームワークを私たちが身につけ、その輪の中に、この元気村の子どもたちを、私たちと同じ立場として迎え入れられるようになるのだとしたら、果たしてそれはどれほどのことなのだろうか?

私たちの、それはスタッフや、子供たちだけでなく、家族のみなさん、応援してくれるみなさんも含め、どれほどの喜びになるだろうか?おそらく言葉では言い表すことが難しいのではないかと想像します。

こうした可能性を感じさせてくれるこの夏のキャンプでした。私たちは約束の5年、最初に最低でも5年は続けると宣言したときから数えて、2016年の夏がその5年を全うするときです。その先へ、未来への新たなひとつの選択肢を得たキャンプではなかったかと感じています。

ちょっと追記

2012年にこのキャンプを始めた時に、こうした可能性がキャンプで生まれるなどと想像できませんでした。そもそも保養キャンプの本来的な部分は保養であり、こうした交流から生まれるものは副次的なものであるはずです。

ところが、人と人とが時と場所を同じくして暮らせば、暮すほど、互いを近く感じ、大切に考えるようになります。

普段、遠くに住み暮す私たちにできることはなにか。そう望まれるのなら、それに応えたいと思います。

それと同時に、この事を子どもたちに課したくないという思いがあります。

これまでこのキャンプで出会い、過ごしてきた子どもたちは沢山います。一度だけの参加であったとしても、私たちにとっては他人ではありません。

その子どもたち1人1人がどういう決断をするにせよ、私たちは尊重します。これまでも、これからもその事に変わりはありません。

みんな、今、自分がやりたいと思う事をして欲しい。彼らが、君たちが生き生きとしているのなら、部活であろうが、キャンプの手伝いであろうがまったく構わないのです。


協力者のみなさん ~ 寄付・物資・食材など ~

スタッフだけではなく、いつもこうしたみなさんの支えがあってこのキャンプが成り立っています。

多くの人たちがそれぞれの立場から、様々に応援をしてくださることで、こうしたキャンプを4年に渡り実施できています。

*個人の方のお名前は掲載許可の確認をとっていなかったため、苗字のみとさせていただきました。

団体支援

宿泊施設および農園の利用、その他様々な便宜など

NPO法人 日の出太陽の家ボランティアセンター

福島東京間の往復バスの支援

一般財団法人 戸沢暢美財団

食料品提供

観音山フルーツガーデン

株式会社竹田商店

青梅和菓子処まちだ

ブロート・ヒューゲル

齋藤さん

藤田さん

山本さん

堀内さん

森本さん

岩崎さん

食材調達協力

レ・ポルト・ドゥ・フィナンシエ

大黒屋精肉店

業務スーパーあきるの店

パーク舘谷店

イオン日の出店

物資提供(Amazonからの支援含む)

スコラゲン株式会社

田口さん

堀さん

小松谷さん

松本さん

関根さん

鎌田さん

松本さん

坂田さん

谷さん

佐藤さん

関橋さん

中村さん

岡本さん

仙波さん

寄付金

ゴールドトラスト

石川さん

ヨコウチさん

落合さん

布施さん

関さん

福田さん

市橋さん

ワタナベさん

渋澤さん

岸本さん

OCHIAISAMAKIZ

塚本さん

姉崎さん

忍足さん

渡辺さん

服部さん

石川さん

桐山さん

冨士田さん

中川さん

その他

檜原村観光協会 駐車場利用提供

伊藤さん つむ木利用提供

スタッフ(キャンプネーム)

僕を除き、総勢42名です。本当にお疲れさまでした!このキャンプの楽しさ、豊かさはみんながつくりだしています。

また春もキャンプしよう!

かめさん・のぐさん・おかわりさん・くどぅ・マリー・のんたママ・ともちゃん・ハッシー・せんちゃん・よしこさん・がくと・ろくた・だいし・前島・ハッピー・あさのさん・けっくん・きんちゃん・ふじちゃん・デニー・だいちゃん・ガッキー・どっぴー・たまちゃん・まっしゅ・カレイ・ほーりー・れい・きりさん・のんちゃん・なえちゃん・みっき・ゆりりん・みっさー・しゅう・K子・ぴろさん・りょうちゃん・トシさん・こうき・だいじゅ・ヤマミチ


会計報告

無事、予算以内で終えることができました。収入は約84万円の予算に対して、約86万円。支出は約84万円の予算に対して、約74万円となり、自己資金負担の返済を含めても、次回のキャンプに約15万円を繰越できることになりました。

詳しい報告書はこちらにまとめさせていただきました。

http://genkimura.letsgoout.jp/doc/2015summer_acctreport.pdf

以上、遅くなりましたが2015年夏のキャンプの報告とさせていただきます。事故などなく無事に終えることができて、本当になによりです。

また、ここまで長い報告書を読んでくださり、ありがとうございました。どうか今後とも元気村キャンプを、子どもたちを、福島のことを少しでも心に留め置いていただければと願っております。

以上