2012年6月 みんなの森財団 福島市/郡山市 お母さん達との懇談会まとめ ■現状 ・ほとんどのお母さんがパソコンを使っていない。もしくは使えない。 ・一部のお母さん(パソコンを使って情報を集められる人)が、事務局のような役割を果たしている。 ・水が安心、牛乳が安心という情報が学校からくるまでは、水も水筒でもっていったり、牛乳も捨てている状況だった。  いまだに牛乳を捨てる子供もいるが、先生はなにもいわない。 ・学校からのプリントしか情報が得られない。 ・少し前までは高速が無料だったので、秋田まで保養にいったりしていた。それもなくなったのでもう少し近い山形に行ったりするが、山形は人気で、受け入れてもらえない。  宮城もプログラムがあるが、津波で大変な地域にお世話になってしまっていいのか、悩んでしまう。 ・保養先や、旅先などで「どこからきたか?」という質問に福島からとは答えられない。躊躇してしまう。 ・私たちも、子供たちも、特別に扱うことなく、普通に接してほしい。 ・子供の将来のことが不安になる。就職のこと、結婚のこと、出産のこと。県外にでてつらい思いをするのなら、県内の子供どうしで結婚した方がいいのではと考えてしまう。 ・夫婦間で、子供への対応で意見が食い違い、夫婦喧嘩をすることが多くなった。子供が保養キャンプなどで外にいる間に自分の気持ちを整理して、落ち着かせている。  その繰り返しをしている感じがする。 ・どの家庭もほとんど元気村キャンプ以外のキャンプにも子供を参加させている。YMCAのキャンプに参加している子供がとても多い。 ・各家庭で放射能に対する感度が異なる。子供に水筒を持ってこさせるのに、外に洗濯物を干したり、窓をずっと開け放ったりしている家をみると、どうしてかしらと疑問に思う。 ・郡山のお母さんたちの間では、県外に非難している人たちの話をしたり、出戻ってきた人たちの話をしたりするのはなんとなくタブーになっている感じがある。  戻ってきても何も聞かずに淡々と受け入れている状況になっている。 ・保養キャンプの存在を知らないお母さんが多い。事務局のような役割をしているお母さんが仲間内にいないと、長期の休みにずっと家に子供がいたりする。 ・保養キャンプに子供たちを参加させていても、保養キャンプという言葉をしならい。 ・福島市では小学校のみ制限あり。中学校・高校は制限はない。部活動も行っている。 ・福島市では、田んぼの側溝の泥を子供たちが触ろうとすると近所の人から注意される。 ・郡山では小学校・中学校・高校も制限なし。会場の近くにあった開西山公園では小さい子供が遊んでいたり、中学生・高校生が部活動などを行っていた。 ・福島・郡山ともに今年の運動会は午前中のみ。 ■お母さんたちが感じていること ・疎開のプログラムが昨年より減っている ・疎開プログラムは家族単体での受け入れが多い。子供たちにしてみるとよその子供たち含めていけることが楽しいし、良い思い出になる。 ・疎開、保養プログラムが、昨年の情報なのか、今年の情報なのかもわからない。 ・3歳児などの子供を疎開、保養させることが難しい。理想でいえば、祖父母と1週間〜1ヵ月ぐらいあまりお金のかからないところに非難させたい。  できれば食事などがでると、なおありがたい。 ・インターネットの情報収集はむずかしい。新聞や、テレビで掲載してくれるほうが、はるかにありがたい。明日の天気より、保養の情報のほうが助かる。 ・保養キャンプはどのお母さんも必要としている。数が足りない。 ・グループ申し込み禁止のキャンプがある。公平性の点で、そういわれてしまう。ストレスを感じている子供たちなので、なるべくグループ単位で受け入れてほしい。 ・最初はYMCAなどの知っている団体が安心なのでキャンプに参加させていたが、子供たちがあまり楽しい様子がなく、ストレスを感じて帰ってくることがある。 ・学校単位で保養に行ったりすることは難しいのか?そのほうが仲の良い子供たちが一緒なので、子供たちがストレスなくいくことができる。 ・もっと学校の先生同士のネットワークで情報があつまって、各家庭に伝わるような感じになぜならないのか?よその学校の状況、やっていることが伝わってこない。 ・中学校で他県に空き家をかりて、クラス単位で保養している事例がある。そういう取り組みがもっと増えないものか。 ・親子参加限定のキャンプは、共働きの家庭ではとてもきつい。会社を休めない。 ・福島のお母さんの誰もがここに納得して福島に住んでいない。不安や、葛藤と折り合いをつけながら毎日を暮らしている。これをハッキリと外の人たちに伝えてほしい。 ・沖縄で1ヵ月のキャンプがあって、参加させたかったが、期間中一切の連絡を禁じられ、不安で参加させることができなかった。  連絡をさせると、逆にホームシックになるというが、ストレスを抱えている子供たちなので、ほかの子供たちと同じように扱われてしまうと厳しい。 ・キャンプの申し込み締め切りが実施のぎりぎりだと、ほかのキャンプに申し込んでよいのかわからず、難しくなってしまう。 ・事務局のようなことをして、お友達の子供たちと参加申し込みしているが、参加できなかった子供のお母さんからなぜ内の子供を誘ってくれなかったのかというような感じのことをいわれてしまう。 ■元気村キャンプに対する評価 ・バラエティーにとんだプログラムがよい。保養ということで、子供たちを放置するキャンプが多く、あまり子供たちが楽しそうにしていなかった。 ・グラウンドで遊ばせてもらったことが、とても楽しいということであった。外の方の援助がとてもありがたかった。 ・ホームページをみてとてもしっかりしていると感じ、参加させやすかった。 ・とにかく子供たちが楽しかったと口にする。他の用事をキャンセルしても、元気村キャンプに参加したいといっている。 ・食事がおいしかったと子供たちが口にする。他のところでは毎日お店で買ったお弁当のこともあったようだ。 ・毎朝勉強をしてもらってありがたかった。大学生の方から勉強を教えてもらったと子供が喜んでいた。 ・毎日のブログの報告がありがたかった。子供たちの様子、子供たちの笑顔がみられて安心した。ブログに報告がアップされたら、他のお母さんたちに連絡したりして伝え合っていた。 ■保養キャンプをお母さんたちが判断できるポイント ・グループ申し込みの可否 ・部屋割りのやり方(グループの子供たちが同じになるか) ・抽選方式 or 先着方式 ・期間中の電話禁止の有り無し ■保養キャンプでお母さんたちが安心できるポイント ・毎日の活動ブログ報告 ・スタッフの数が多い ・ホームページがしっかりしている感じがする ■ホームステイの実施について ・子供たちはあまり乗り気ではない。ただし仲良くなった子供の家には行きたがる。 ・知らない家庭にお世話になってよいのか、考えてしまう。特に自分で身の回りのことができないような年齢では難しい。3、4年生以上ではないか。 ・ホームステイの実現は難しいこともあるだろうが、やれば子供たちにとって良い経験になるだろうと思う。 ■感想 保養キャンプと、一般のキャンプでは目的が違うことを、もっと受け入れ団体に伝える必要がある。団体とお母さんたちが意見を交わせる場所が必要。 お母さんたちのニーズと、キャンプ受け入れ側の想定がマッチしていない感じがする。